『世界日報』Viewpointでインタビューが掲載されました(2015年5月27日)


元在沖米海兵隊政務外交部次長 ロバート・エルドリッヂ氏に聞く

「不当逮捕」「過剰警備」は作り上げられたストーリー

解雇後、日米両国から激励の声

日米両政府が普天間飛行場(宜野湾市)の移設先として合意したキャンプ・シュワブ(名護市)のゲートで反基地活動家が拘束された一部始終を映したビデオを外部に「提供」した引責で、在沖米海兵隊政務外交部次長のロバート・エルドリッヂ氏は4月末、海兵隊を解雇された。ビデオを外部「提供」した動機、正しい報道の在り方、沖縄の政治状況などについてエルドリッヂ氏に聞いた。(那覇支局・豊田 剛)

――キャンプ・シュワブのゲートにおけるビデオ映像が流出した経緯は。

これは「流出」ではなく、「公開」または「提供」です。組織にとってダメージを与えるものが流出。ダメージが与えられたのはむしろ平和運動家の方です。

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ビデオが公開されることで、沖縄平和センターの山城博治議長が境界線を越え、警備員らを挑発しているのが明らかになりました。これは地元メディアが言うような不当逮捕ではありません。これで痛い目に遭ったのは暴力的平和活動家、地元メディア、そして両方を基盤にしている政治家の方です。

ビデオは3月4日、長い間交流があり信頼できる人物に渡しました。受け手から依頼があったのではなく、私が単独で決めました。2月22日の拘束から10日後の3月3日の国会予算委員会で、拘束について政府が質問にうまく答弁できていませんでした。政府ですら判断材料がなく、真相が分かっていなかったのです。私にとってこれが我慢の限界でした。

地元紙はずっと「不当拘束」「日本人警備員が過剰警備」などと書き県民(沖縄県警、海上保安庁、警備員ら)が(基地に反対する)県民を攻撃していることを非難していました。さらに、直接関係のない那覇市議会が過剰警備を非難する決議を採択し、状況はますます大変になったと思いました。

編集されていないビデオを見れば、本来はまったく難しくない問題です。

私が2009年9月28日、沖縄に着任した時、マスコミのインタビューで「海兵隊の透明性を高めたい」と抱負を述べたことが思い起こされます。

――ビデオが公開された結果、どうなったか。

私は3月11日に解雇の宣告を受けましたが、ビデオを提供したことを後悔していません。政府にとって説明できる材料が提供された上に、日本人警備員の名誉回復ができました。さらには、海兵隊と米政府の名誉回復にもつながったと信じています。

――解雇処分を受けてどのような反響があったか。

日本人からものすごい反響がありました。解雇撤回を求めるインターネット署名は4万筆以上集まったと聞いています。特に、トモダチ作戦で海兵隊が支援した気仙沼市大島の子供たちが激励のメールや署名を送ってくれました。大島との交流は今後も続けていくし、大島との交流の物語を来年の3月に刊行する予定です。

米軍からは、現役やOBの将校ら幹部から下士官に至るまで多くから激励されました。

――キャンプ・シュワブ前の反基地活動の在り方についてどう思うか。

合法的に反対するのは民主主義では当然、保障されなければなりません。しかし、不法で反社会的、非人間的行動となると別の話になります。米軍人や日本人警備員への暴力、脅迫、差別、ヘイトスピーチは平和的とは言えません。自らの行動に責任を持たなければいけません。

2月22日に山城氏が拘束された時、学者、政治家、マスコミの三者がまったく別のストーリーを作り上げました。これは歴史研究家で実務家、そして誰よりも沖縄の将来を考える者としては認めることができません。

根拠のない通説も慎むべきです。特に、在日米軍面積の74%が沖縄に存在するという表現はやめるべきです。(実際は24%程度だが)これに反論すれば「暴言」と言う。これほど非知的、非客観的、非学問的なやり方は見たことがないし、これほど言論が不自由な空間は見たことがありません。

――現在の沖縄の政治状況をどうみるか。

20年間、沖縄の歴史や政治経済を研究してきましたが、私ほど沖縄に対する提言をした米国人はいないと自負しています。沖縄に対する同情を強要しようとするのは、沖縄のためによくないことです。

片方だけの主張は必ず行き詰まります。「オール沖縄」(辺野古移設反対が県民の総意という主張)ではない現実を直視しないといけません。

――今後はどのような活動をしていくのか。

研究者、教育者として政策提言や国際交流を続けていきたい。交流拠点となる研究所を沖縄本島中部の基地の近くに構え、超党派、学際的、国際的な活動を基地の外でしていきます。人材育成も大きな柱の一つに考えています。

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