沖縄の「基地問題」の現状
平成24年2月7日
普天間基地の移設をはじめ、沖縄の米軍基地問題は長く膠着状態が続く。日本で長く研究を続けるアメリカ人政治学者、エルドリッヂ博士が「沖縄問題」の本質に迫る。
2012年、沖縄は本土復帰から40周年を迎える。この40年間、沖縄の状況は多くの面で飛躍的に向上した。特別措置法や4度にわたる10カ年振興計画を通じ、社会基盤や教育、社会福祉を本土レベルまで引き上げる施策が取られ、県内における相対的に大きな米軍のプレゼンスや自衛隊基地によって生じる政治的、法的課題への取り組みが進んだ結果である。文化の面でも、沖縄固有の芸術や習慣、ライフスタイル、食品、音楽への関心が年々高まり、ある種の「沖縄ブーム」が生じている。本土からの観光客は大幅に増え、沖縄の人々の間には、日本人であることとともに「ウチナンチュー」であることへの誇りも生まれている。
その結果、沖縄県民(「ウチナンチュー」とも自称している)は1972年5月の日本への施政権返還を高く評価するようになった。例えば、返還後5周年の1977年の調査では、沖縄返還を「よかった」と考えている沖縄県民の割合はわずか40%であり、「期待通りでなかった」と答えた割合は55%に上ったが、1982年には約63%が返還を高く評価すると答えた。この数字はその後も上昇し、20周年の1992年には88%に達した。この世論調査は5年ごとに実施されているが、上昇傾向は90年代後半まで続き、2007年の最新調査ではおよそ82%が返還を肯定的に評価している。